中3で1年間不登校になり、高校受験に失敗。進学先に「大学受験に強いサポート校」を選ぶ
私が学校に通わなくなったのは中学2年の終わり頃です。友達の輪からなんとなくフェードアウトしてから体調が悪くなり、中学3年に進級してからはほぼ1年間不登校でした。担任の先生と話して別室登校をしていましたが、それも月3日程度。登校時に先生とコミュニケーションを図っていたものの、教室に行くことは結局ありませんでした。
中学の卒業が近づいてくると進路について考えなければなりません。クラスで授業を受けていないのでどうしても勉強に追いつくのが難しく、親の勧めから通信制高校やサポート校も検討しはじめました。進路の可能性としては、通信制高校・サポート校が7割、全日制高校が3割くらいで考えていたと思います。
受験の時期になり、全日制高校を1校だけ受験しました。しかし、結果は不合格。そして、いよいよ真剣に通信制高校やサポート校への進学を考慮しなければならなくなりました。
通信制高校やサポート校に対するネットの口コミを見ると、良いコメントもあれば悪いコメントもあります。学校ごとにさまざまな特色があるので、「人によって合う合わないがあり、結局のところ入学しなければわからないのだろう」と思っていました。
ただ、親は通信制高校への入学を推し、祖父母も理解を示してくれていました。一番ためらっていたのは自分だったのです。
ためらいを消すために複数の学校を見学し、大学受験に強いサポート校の説明会に参加した時、「ココにしよう」と決めました。全日制高校の受験に失敗している以上、大学受験を見据えればしっかり勉強できるサポート校に入学することがベストな選択だと思ったからです。
家からも通いやすく、キャンパスの雰囲気も良く、何より進学実績も多い。このサポート校でもう一度勉強に向き合おうと決意しました。
学習塾にも通い始めた結果、サポート校に行かなくなり、通信制高校一本へ
サポート校に入学する場合、まずは通信制高校に入学し、その上で提携先のサポート校に入学する、という形をとります。サポート校は通信制高校に通う生徒向けの塾のようなもので、サポート校を卒業しただけでは高卒資格は得られず、高卒資格はあくまでも通信制高校から得ることになります。私も日本航空高等学校(以下、日本航空高校)に入学した上でサポート校に入りました。
サポート校では個別指導を受けられたので当初は週3~4日のペースで通い、学力向上を目指して5月から学習塾も併用。ただ、次第に学習塾で勉強することが増えていき、サポート校への登校頻度が減っていきました。サポート校には授業動画があり、動画を見た後は授業の感想文を書かなければならず、これが結構大変だったからです。また、学習塾には全日制高校の生徒もいるので一緒に勉強することで自然と受験への意識が高まりました。
年が明けた頃からサポート校にはまったく通わなくなり、家や学習塾で自主的に勉強するように。しかし、サポート校の学費は決して安くありません。親も「できれば学校生活を送ってほしい」と希望していたため、1年次の修了に合わせてサポート校を辞め、2年次から提携元の日本航空高校に通うようになりました。
日本航空高校では週1登校コースに在籍し、毎週水曜に集団授業を受けています。そして、週4日は学習塾に通い、その他に英会話教室とアルバイトを週1日ずつ行っています。毎日何かしらの予定があるので忙しいですが、学校は週1日だけで全日制高校のように強制されないため気楽ですし、最近では自分でスケジュールを管理しながら意識的に勉強を進めることができるようになりました。
日本航空高校にはいろいろな生徒がいる。だから生徒に合わせた対応をしてくれる
日本航空高校の良いところは、いろいろな生徒がいることです。友達と話すことが好きな生徒も、1人で過ごすのが好きな生徒もいて、誰もがフラットに行動できます。1人でいることを変に思われることもありません。私は1人でいることが好きなタイプですが、先生たちは私のような生徒とは適度な距離感を保ち、それでいて相談したい時はきちんと時間を取ってくれます。
単位を取る上で学校行事(特別活動)には年間で12時間ほど参加します。社会見学や文化祭をはじめ、時には近所の体育館で体育の授業やスポーツ大会を行い、スポーツ大会では主に集団鬼ごっこやドッジボールなどゆるめの運動を行います。これもいろいろな生徒が在籍している校風に合わせ、個人で取り組む運動が多いのが特徴です。
また、校則は最低限のマナー程度で、制服はなく、ほぼ自由です。単位は1年から3年までに均等に取得しますが、例えば1年次に単位が取れなければ2年になった時に1年の授業に出れば取得できるようになっています。後から取返しがつく措置が用意されているのも通信制高校ならではの良いところだと思います。
全日制、通信制、サポート校、それぞれに良さがあり、自分に合った場所を見つけてほしい
私は全日制の中学校からサポート校に進学し、サポート校を辞めた今は提携元の通信制高校に通っています。この経験を踏まえてそれぞれのメリットをお伝えするなら、全日制のメリットはやはり集団活動ならではのコミュニケーションがあるところです。みんなでアイデアを出し合ったり、クラスの団結力を感じる機会が多くあります。勉強面でも生徒間に競争があるため切磋琢磨でき、受験への意識も自然と高くなります。
ただ、中学で不登校になった私はサポート校に入って「毎日学校に通わなければならない」というプレッシャーから解放されました。サポート校の雰囲気も合っていましたし、もう一度勉強と向き合うきっかけになりました。全日制高校には集団生活の良さがあり、集団生活に馴染めない場合は自分らしく過ごせる場所を探すのが最適なのだと思います。
現在は、通信制高校のレポート学習と学習塾での受験対策に力を入れていますが、この併用がいまの自分にはバランスが良く、英会話教室やアルバイトなどさまざまな場所に居場所をつくれている要因だと感じています。
そして、通信制高校のメリットは登校を強制されないゆえに罪悪感を覚えずに済むことです。中学で不登校だった時は体調不良で仕方がなかったとはいえ、「自分だけが休んでいる」という罪悪感がありました。でも、通信制高校に在籍すれば「無理に通う必要はない」という免罪符をもらったようで心に余裕が生まれ、その結果、体調も良くなりました。全日制高校のような規模ではありませんが、高校なのでスポーツ大会や文化祭などの学校行事も経験できます。
日々勉強と向き合う中で「大学で経済学を学びたい」という目標ができ、いまは一般入試で大学受験に合格したいと思っています。保育園の頃から仲の良い幼馴染も受験勉強を頑張っているので負けないように学力を伸ばし、大学で将来やりたいことを見つけたいです。
通信制高校に在籍していると、毎日クラスで授業を受ける全日制高校とはどうしても勉強量に差が出ます。そのため、一般入試で大学受験に挑むなら学習塾や予備校を活用するべきです。全日制高校に通う同学年の生徒と学ぶことで気付くことも多いですし、自習スペースがある学習塾や予備校なら1人で勉強していても集中力が高まるのでオススメです。
取材日:2024年8月