中学受験した学校で聴覚過敏と社交不安障害になり、不登校に
幼少期から真面目な性格で、掃除をサボる子を注意するような子どもでした。小学6年生になる頃には「将来は誰かの役に立つ仕事がしたい」と思い始め、薬剤師に憧れるように。そのことを母親に話すと私立の中高一貫校を勧められ、半年間猛勉強して中学受験を受け、合格しました。
私立の中高一貫校と聞くと大人しい生徒が多い印象を抱くかもしれませんが、私が入った学校は普段からにぎやかで、廊下を走る生徒もいればそれを怒鳴る先生もいました。すると、新しい環境に順応する前に「走る音」や「怒鳴り声」が必要以上に気になり、聴覚過敏になってしまいました。
同じ頃、いつも一緒に登校し、学校でもずっと話していた仲の良い友達が起立性調節障害になり、不登校に。それ以来、学校では1人で過ごす時間が長くなりました。スクールカウンセラーの先生に相談すると、話した内容がなぜか翌日には他の先生に伝わっていることに不信感を抱き、次第に学校に通いたくないと思うように。母親に手を引っ張られては玄関で駄々をこねる、という日が1週間続き、先生や親との対人関係トラブルをきっかに社交不安障害になります。そして学校を休むようになり、私も中学1年の秋から不登校になりました。
中学2年の春、心療内科で聴覚過敏とストレスによる社交不安障害と診断され、抗精神薬病薬を処方してもらうようになります。薬によって聴覚過敏は改善しましたが、社交不安障害はなかなか改善しませんでした。中学二年時の宿泊学習の際には、パニック発作を起こしてしまったこともあります。
夏の三者面談で「高等部に進学するつもりなら、そろそろ登校しないと出席日数が足りなくなる」と言われ、週3日のペースで登校するようになりました。せっかく中学受験をして入学した学校だったので、このまま辞めたくないと思ったからです。
ただ、私の入った学校は土曜も授業があり、実質週6日登校でした。時には週4日、週5日で登校しても結局出席日数が足りず、中学3年の三者面談では「やはりこの出席日数では高等部には進学できない」と通告を受けました。本気で勉強して入学し、学費も高い中高一貫校に入学しながら、結局通信制高校に進学しなければならない、という事実に打ちひしがれましたが、もう他の選択肢はありませんでした。

ID学園高校の「ちょうど良い感じ」にひかれ、入学を即決。自分軸の人生を歩み始める
通信制高校を比較検討するために10校以上のパンフレットを取り寄せ、その中から6校のオープンキャンパスに参加しました。個人的に印象が良かったのは、飛鳥未来きずな高等学校、クラーク記念国際高等学校、そしてID学園高等学校です。
飛鳥未来きずな高等学校は明るい生徒が多く、見学した中では最も自由度が高かったです。クラーク記念国際高等学校は全日制の雰囲気に近く、特に母親がその環境やシステムを気に入っていました。この2校に比べると、ID学園高等学校(以下、ID学園高校)は通信制高校特有の自由度がありながら落ち着いた、それでいて明るい雰囲気もある学校で、「ちょうど良い」と思えました。ID学園高校は最後に見学した学校で、オープンキャンパスの直前まで「なんか学校名がうさんくさいよね」と母親と話していたんです。でも、見学した後は母親の言い分を退けて「この学校に行く」と即決していました。
中学受験では母親に勧められるまま、「制服がかわいいから良いかも」という理由だけで受験する学校を決めました。しかし、実際に入学すると毎日勉強に追われ、ストレスが蓄積した結果、不登校になってしまいました。もし高校選びでも母親の意向に沿うと、また同じような状況になるかもしれない。そう思い、自分の主張を貫きました。
思えば、この時に自分の行きたい学校を自分の意思で選んだことが「他人軸」から「自分軸」の生活を送れるようになったきっかけだったと感じます。
母親に勧められるまま中高一貫校を選んだ時も、他者に引き起こされるさまざまな音をストレスに感じて聴覚過敏になった時も、対人関係のトラブルで社交不安障害になった時も、私は他人軸の人生を生きていました。
もちろん、母親は「薬剤師になりたい」という私の夢を応援するために中高一貫校を勧めてくれ、通信制高校を検討する際もパンフレットを一緒に見たり、オープンキャンパスに同行してくれたり、常に私に寄り添ってサポートしてくれました。そのことには本当に感謝していますし、これまでは単純に私の主張が弱く、周囲の影響を強く受けていたのかもしれません。でも、自分の意志で学校を選ぶことで、ようやく自分軸の人生が始まったような気がしました。

着たい服で登校し、自主的に勉強し、放課後は友達と遊ぶ。それが通信制高校の青春
今は大宮キャンパスで通学型の週3日コースに通っています。登校日は月・水・金で、主要5教科の対面授業の他、自分でテーマを決めて調べる探究授業や時事問題を扱うNIE(News in Education )などを受講しています。通信制高校は単位を取るためにレポートを提出しなければなりませんが、レポートの範囲については先生が対面授業で教えてくれますし、あくまで教科書がベースなのでそれほど難しくはありません。私はまず自分の力でレポートを解いてみて、わからなければ教科書や解説動画を見ています。レポートは5月、6月、7月、9月、10月、11月の毎月15日が提出日になっており、難しくはありませんが量は多いです。そのため、毎日コツコツと取り組むことが重要だとわかってきました。
レポートを提出しなければ卒業できないので「やらなければいけない」という意識はみんな強く持っており、談話スペースで雑談している時もレポートを広げて話しています。
みんな地元がバラバラなので、放課後はキャンパスがある大宮で遊ぶことが多いです。ゲームセンターでプリクラを撮ったり、カラオケに行ったり、やっていることは全日制の高校生と同じです。
一方、校則や行事は全日制高校と違います。ID学園高校には校則はなく、「廊下は走らない」といった最低限のルールがあるくらいです。制服を着ているのも半数程度。式典でも制服の着用は任意で、入学式ではオシャレなジャージを着て参加している生徒もいました。私は制服が好きですが、学校指定の標準服ではなく、自分の好きな制服を自分なりにアレンジして着ています。好きなファッションで登校するだけで心が軽くなりますし、なんちゃって制服を思いっきり楽しんでいます。
ちなみに入学式はとても盛大で、全日制の郁文館高校の先輩たちによる生演奏の中、新入生が登場し、応援部、書道部、チアリーディング部などがパフォーマンスをしてくれます。学校行事も多く、転入生を歓迎する転入式やウェルカムパーティー、長野県への宿泊研修などを経験しました。通信制高校は学校行事が少ないと思っていたので、良い意味で驚きました。

ID学園高校で変わり、やりたいこともできた。夢はミュージカル俳優
ID学園高校に入って変わったのは、他人軸から自分軸で考えられるようになったことです。自分で学校を選んだことがきっかけとなり、ID学園高校の環境が自分軸で考えて行動することを後押ししてくれました。
まず、学校特有の縛りが無くなったことで、行くも行かないも自分の気持ちや体調を優先できるようになりました。中学時代は、卒業する日まで、学校で突然泣きだしてしまうのではないか、パニックになってしまうのではないかと常に不安が付きまとっていました。しかし、通信制高校に入学してから、そのような不安はもうありません。「いつ学校に来ても、いつ帰ってもいい。途中で授業を抜けてもいい」そんな環境で自分を一番に考えられるようになり、なかなか改善しなかった社会不安障害も現在は改善しています。
また、以前は同学年くらいの金髪の子を見かけると世間的なイメージから近寄りがたいと思い、あまり会話することなどはありませんでした。しかし、ID学園高校に入ってからは金髪の子とも普通に話すようになり、人は見た目じゃないと実感。いまは「ID学園高校の生徒ならきっと良い子だろう」と自分から積極的に話しかけるようになったほどです。
自分軸で行動できるようになり、通信制高校の仕組みと多様性のある環境が後押ししてくれた結果、ミュージカル俳優になりたいという新たな夢もできました。近いうちにミュージカルのレッスンを受け始め、卒業後はミュージカルを学べる専門学校に進む予定です。
中高一貫校に在籍し続けていれば、どのよう夢であっても必ず大学受験を求められ、専門学校に進学するという道は選択肢にも挙がらなかったはず。ミュージカル俳優という夢に向かって走り出せたのもID学園高校に入学して変われたからです。母親も私の新しい夢を応援してくれているので、その気持ちに応えられるよう全力で頑張りたいです。
通信制高校に良くないイメージを持っている方はまだまだいると思いますし、否定的な意見があって当然だという気もします。でも、一度見学すれば「思っていたよりも良いところだな」と考えを改めてもらえるはずです。通信制高校に進学するか迷っている中学3年生や全日制高校を辞めようか迷っている高校生、その保護者の方には、ぜひ一度通信制高校のオープンキャンパスに参加してほしいです。
建物の構造や生徒が違えばキャンパスの雰囲気も異なります。その学校のシステムが合っていても雰囲気が合わないと感じたとき、ぜひ同じ学校の別キャンパスを見てください。
取材日:2024年8月
本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。
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