サッカースクールの海外遠征をきっかけに留学に興味を持つ
私は5歳からサッカーを始め、海外を拠点とするサッカースクールに所属していました。子どもの頃から海外サッカーを見ていて、小学5年の時にはイタリア遠征にも行きました。言葉が分からない中、どうにか自分の思いを伝えようとコミュニケーションを図ることが楽しく、「もう一度海外に行きたい」と思うようになったことを覚えています。
なんとなく抱いていた「また海外でプレーしたい」という思いは、中学卒業後の進路を意識する時期に明確な目標へ変わります。スポーツ留学をしている先輩に話を聞き、サッカー留学するための進学先として通信制高校を検討し始めました。そして、登校日数が少ないルネサンス高等学校(以下、ルネサンス高校)に進学しました。
通信制高校の世間的なイメージが悪いことは感じていました。私自身も「なかにはコミュニケーションが苦手な人もいるだろう」と思っていたくらいです。ただ、サッカー留学をする自分には関係ないと思い、気にしていませんでした。

スクーリングで刺激を受け、留学後ストリートサッカーで国籍の壁を越える
ヨーロッパのサッカーシーズンは秋から春です。留学エージェントと相談して、私のサッカー留学は高校1年の9月から高校2年の6月までと決まりました。
留学前は、毎日授業動画を視聴してレポートを解き、夕方にはサッカーの練習に励む日々を過ごしていました。そんな中、私の中で通信制高校のイメージをガラッと変える出来事が起きます。それは、スクーリングでルネサンス高校の生徒と交流した時のことです。最初はみんな無言でしたが、体育の授業をきっかけに話すようになり、せっかくだからといろいろな人に話しかけてみました。すると、バレエをするためにウィーンに留学していたり、スノーボードやeスポーツのプロ選手がいて、「この学校にこんなにすごい人たちがいたんだ!」と驚きました。特にバレエで留学中の友達は、目標が明確で留学後もウィーンで働くと話しており、同年代なのに世界を舞台に頑張っている姿に刺激を受けました。
スクーリングで改めて留学への意気込みが高まり、決意も新たにスペインの首都・マドリードへ飛び立ちました。現地ではマドリードのサッカーアカデミーと街のクラブチームの2つに所属し、アカデミーの留学生と4人でルームシェアをして暮らしていました。
毎朝8時に起き、午前中はレポートを解いて11時半から練習、ランチを挟んで夕方はチーム練習、夜はスペイン語を学び、ようやく帰宅します。料理や洗濯も自分たちで行うため毎日忙しかったですが、勉強とサッカーを両立させるために1日1日を大切に過ごしました。
留学中、特に印象的だった文化があります。それがストリートサッカーです。
スペインにはコンクリートのストリートサッカー場があります。そこで自主練をしていると、知らない人に声をかけられ、いつの間にか試合が始まります。ストリートサッカーでは国籍や言語、人種の壁を越え、誰とでも自然に仲良くなれるということを実感しました。

50人が集まる国際交流イベントを開催。これからもずっとサッカーに携わりたい
スペインのストリートサッカー場でいろいろな人と交流できたことで、日本に帰国してからは「日本でも海外から来ている人と交流できる場をつくりたい」と思うようになりました。
そこで、ルネサンス高校の友達も巻き込み、まずは誰でも参加できるサッカー交流会を開催してみました。初回に来てくれた外国人は3人だけでしたが、2回目以降はInstagramで告知し、ポスターも掲示したことから次第に参加人数が増えていき、女性や子どもが多い時はカードゲームで交流するなど、内容もバラエティに富んだものに変えていきました。
その結果、4回目には日本人20名、外国人20名、運営チーム10名の計50名が参加するイベントに成長させることができたのです。
自分の発案で国際交流の場を作ることに成功し、とても嬉しかったです。
留学前は、サッカーとレポートをこなすだけの生活を送っていた自分にとって、スクーリングで世界を舞台に戦っている同年代と出会えたことはとても大きかったです。その場で友達になり、いろいろな話を聞いて刺激を受けたことで、留学中は頑張れました。
スペインでの交流をきっかけに、今はイベントを開催したり、留学後は周囲を巻き込みながら自分の興味のあることに積極的にチャレンジするようにもなりました。
通信制高校にはネガティブな意見もあることは知っています。しかし、私にとっては得たものの多い3年間でした。
これから通信制高校に入る方も、余白の時間で自分のやりたいことに取り組み、「高校時代はこれを頑張っていた」と胸を張って言えるよう有意義に過ごしてほしいです。
私はルネサンス高校を卒業したら、もう一度スペインに渡って語学学校に入学する予定です。スペイン語で日常会話はできますが、まだ自在に操れるわけではないのでもう一度現地の学校で学び直すつもりです。
学校に通いながら仕事をして、サッカーも続け、ゆくゆくは海外でサッカーに携わる仕事をしたいと思っています。

取材日:2025年2月
本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。
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