スマホを持っていないことから中学で窮屈さを感じ、体調を崩してしまう
小学校高学年のとき、コロナ禍の影響を受けました。学校に行けなくなり、家でも勉強ができるようオンライン学習がスタート。ただ、そこで感じたのは「勉強は一人でできそうだ」というものでした。学校に行かない生活にも、オンライン学習のシステムにもすぐに順応できました。
コロナ禍が明けて中学に進学しましたが、中学1年の夏から少しずつ状況が変わっていきます。勉強が難しくなり、提出物も多く、さらにクラスの話題に付いていけなくなりました。話題に付いていけなくなったのはスマホを持っていなかったから。SNSをはじめとするネット経由でいろいろな事件が起こる時代なので、親としては「中学生にはまだ早い」と思ったのでしょう。その思いはしっかり伝わってくるのですが、スマホを持っていないことでクラスのLINEグループに入れず友達とのコミュニケーションが遠回りになってしまう。家族の共用パソコンからYouTubeやSNSに触れてもどうしてもタイムラグが生じるため、クラスメイトと話が合わなくなるのは当然でした。
スマホがないもどかしさによって学校生活に窮屈さを感じるようになってしまい、次第に頭痛や腹痛、発熱、吐き気などの症状が身体に現れるように。そして、中学1年の冬から体調不良で学校を休むようになってしまいました。
中学2年に進級しても学校はほとんど休んでいました。しかし、頭痛や腹痛など欠席理由が毎日異なるため不登校の定義には当てはまらず、実際に体調は悪いのでベッドの上で天井を見つめる日々を過ごしていました。体調が良い時はたまに学校に行っていましたが、クラスメイトと久しぶりに会ってもやっぱり話題に付いていけないし、勉強も追いつけない。そうしてますます学校が遠ざかっていきました。
中学3年になってからは少しずつ体調が改善し、別室登校を開始。担任の先生も不登校や教室に入れない生徒に理解があり、卒業1カ月前には「中学生活の最後にみんなと思い出づくりをしない?」と言われ、意を決して教室へ。3年生の卒業旅行で西武園ゆうえんちへ行き、クラスメイトと楽しい思い出をつくれました。3年次の先生方の配慮にはとても感謝しています。

「なぜこの学校に行きたいのか」を親にプレゼンし、S高に進学する
卒業後の進路について考え始めたのは、学校を休んでいた中学2年の秋でした。「高校について調べてみよう」という宿題があり、母親から「通信制高校も調べてみたら?」と言われたことがきっかけです。パソコンでいろいろな通信制高校を調べ、複数の通信制高校が集まる合同説明会にも参加。話を聞いて惹かれたのがN高等学校、S高等学校(以下、N高、S高)でした。
少年漫画をはじめ本全般が好きで、家でイラストを描いたりニコニコ動画を見ていた私はKADOKAWA・ドワンゴの学校というだけで興味をもちましたが、完全オンライン学習のネットコースがあり、学習アプリの『ZEN Study』ではN高グループが提携している専門学校の授業動画まで閲覧できる点が特に魅力でした。
親からは「通信制高校のネットコースでも良い。だけど、なぜN高なのか理由を教えてほしい」と言われ、食事中にプレゼン。N高は本校が沖縄で2年次には本校スクーリングがあるため、少しでも学費が安くなるようS高に行くと伝え、納得してもらいました。
S高に入学してからは毎朝6時50分に起き、朝食を食べて親を見送り、ゴミ捨てをするのが朝のルーティンです。それからレポートに取り組んだり、イラストを練習したり、消しゴムハンコを作っています。消しゴムハンコは中学の時に入っていたモノづくり部で始めた趣味の一つで、S高でも消しゴムハンコ同好会を設立して毎週金曜に披露し合っています。お昼になったら自分で昼食を作り、図書館に行って勉強したり本を読むことも。夕方には親の分も含めて夕食を作り、22時から23時頃に寝ています。
「学校に通わなければいけない」というプレッシャーがないからか高校生になってからは体調も安定し、3日連続で参加するスクーリングも楽しむことができました。もうすぐ宿泊型の本校スクーリングがあるので、ここでも楽しんで友達をつくりたいと思っています。

S高で自己肯定感が高まり、心が自由に。今度は私がだれかを肯定したい
中学の宿題で通信制高校について調べるまで通信制高校のことは何も知らず、そのため偏見などもありませんでした。しかし、ネットで調べると「やばい」「人生終わり」といったサジェストが表示され、びっくりしたことを覚えています。合同説明会に参加して自分が「良い」と思った直感を信じて入学しましたが、いまは本当に良い学校に巡り会えたと感じています。
S高に入って大きく変わったのは私自身の性格で、以前よりオープンになりました。中学生の頃は少年漫画やイラストなど同じ趣味の友達がおらず、親はネット文化全般に興味がなく、イラストを投稿・閲覧できるpixivやYouTubeを見て世の中には同じ趣味をもつ人がいるのだと認識していました。
でも、S高は漫画やアニメ、ニコニコ動画が好きな人ばかりです。先生ですら自己紹介の時に「これまで読んだ漫画」を紹介するほど。「この漫画が好き」と言えば「良いよね!」と返してくれる環境で、まるでコインの裏表のように、これまでイレギュラーだったことがすべて当たり前のことに変わったような感覚でした。
中学時代はスマホを持っていないだけで学校生活に窮屈さを感じていましたが、消しゴムハンコ同好会を通して多くの人と関わり、作品を褒めてもらい、自己肯定感が上がると同時に心も自由になった気がしています。だからこそ、これからは自分で発信できる存在になり、他のだれかを肯定していきたいです。
私のように些細なことがきっかけとなり、体調を崩して学校に通えなくなる人はたくさんいるはず。そんな方に、この記事が届いてほしいです。

取材日:2025年5月
本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。
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