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辛いことは忘れたいと思っていた。今は、覚えておきたいことばかり

辛いことは忘れたいと思っていた。今は、覚えておきたいことばかり

N高等学校 2年生
山本雄都

考えすぎる性格ゆえに心が擦り減り、小3と中1で不登校に

私はもともと人の言葉や行動の裏まで読もうとするタイプで、そのせいで何事も考えすぎてしまうクセがありました。小学3年の校外学習でも、ふとした時に担任の先生の足が当たり、「もしかして蹴られた?いや、そんなはずはない。でもこのタイミングで足なんて当たる?」と考えてしまい、先生に対して「怖い」という感情が生まれ不登校になりました。
4年生に進級して担任の先生が変わってからは通学できるようになったものの、学校を休みがちに。そのため、6年生の時にコロナ禍となり、一斉休校になったのは私にとって有難い出来事でもありました。

小学生の時に「登校」に対して心理的なハードルが生まれたものの、特に意識しなくても容易く超えられるものでした。しかし、中学校に進学すると少しずつハードルが高くなっていきます。
複数の小学校から生徒が集まればコミュニティが大きくなり、新しい人間関係が始まります。私は人と接する時、「明るい自分でありたい」と思っていました。明るく振る舞った方が気持ちの良いコミュニケーションができ、楽しい雰囲気をつくれると考えていたからです。でも、心のどこかで「無理をして取り繕っている」という違和感があり、それは次第に大きくなっていきました。
日を追うごとに心が疲れていくのが分かり、余裕がなくなると登校へのハードルがどんどん高くなる。辛いことや嫌なことを思い出す機会も増え、中学1年の2学期後半から再び不登校になってしまいました。

考えすぎる性格ゆえに心が擦り減り、小3と中1で不登校に

別室登校をして「もう一度前を向こう」と決意する

学校で取り繕う違和感、そのせいで心が疲れていく感覚は、今だから言語化できるものです。当時は「なぜ学校に行きたくないのか」という理由をうまく説明できませんでした。それでも家族は心配し、外出や気分転換に誘ってくれました。そうした家族の優しさは、いま思えば本当にありがたいです。
不登校中はゲームをしたり、絵を描いて過ごすことが多く、あとは食事、散歩、睡眠で1日が終わっていました。ただ、学校に行きたくないと思いながら、どこかで行きたい気持ちもあり、学校の近くにある公園まで散歩して、公園でお弁当を食べてから帰宅していました。

中学3年になり、先生に勧められて保健室登校を開始しました。心の片隅に「学校に行きたい」という気持ちはあったので登校することに抵抗はありませんでしたが、他の生徒の明るい声が聞こえてくると「自分は同じように振る舞えない」と考えてしまい、心が苦しくなりました。それでいて担任や保健室の先生に、その状態や感情を正直に話すこともできませんでした。
保健室登校をしてみたけれど、他の生徒の声を聞くだけで苦しくなり、そのことを先生たちにも言えない。力なく俯いてしまうことしかできない。自分の状況を歯がゆく思うと同時に、こうも思いました。

このまま現実逃避をしていて良いのだろうか。もう一度、ちゃんと前を向きたい。

中学3年になれば卒業後の進路についても決めなければなりません。そこで、もう一度前を向くために市の教育相談室に行ってみました。

別室登校をして「もう一度前を向こう」と決意する

ベイビーステップが、自分の可能性を広げてくれる

教育相談室では「やる気があるなら通信制高校が良いと思う」と勧められました。学校選びでは、①自宅から通える、②週3日コースがある、この2つの条件で絞り込み。通信制高校といえどもいきなり週5日通学するのは厳しそうに思えましたし、すごろくのように「学校に行ったら一回休み」というスケジュールなら無理なく通えるのではないかと考えました。そして、条件に合致したN高等学校(以下、N高)のオープンキャンパスに参加します。
オープンキャンパスでは「いまは不登校だけど、高校生になったら通学できるようになりたい」という自分と同じ考えの同級生がたくさんいることに励まされ、在校生がプレゼンする姿もカッコ良く見えました。大宮キャンパスはビルの8階にあるので見晴らしも良く、これらが決め手となりN高に進学します。

N高での生活は、一言で言うと「とても楽しい」です。グループワークで友達ができ、スクーリングでは友達との仲がさらに深まります。本校スクーリングでは宿泊したホテルで、「顔にパックをして巡回中の先生を驚かせよう」とみんなで企みましたが、先生はスルー。でも、そんなことも楽しい思い出です。
以前は「辛いことは忘れよう」と考えていましたが、N高に入って「覚えておきたいことが増えた」ので写真も撮るようになりました。授業でも企画書の作成やプレゼンなど挑戦する機会が多く、「自分にもできることがたくさんある」と気付いて、可能性が広がったように感じます。

時には焦ってしまうこともありますが、1日行けば1日休める安心感があり、その余裕があるだけで落ち着いた学校生活を送れます。
授業やスクーリングを通して小さな成功体験を積み上げることができ、そのベイビーステップが少しずつ自分らしさを形作ってくれます。
いま不登校で悩んでいたり、将来に不安しかなくても、まずは通信制高校でベイビーステップを刻んでほしいです。その先には、きっとポジティブな未来が待っているはずです。

ベイビーステップが、自分の可能性を広げてくれる

取材日:2025年10月

本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。

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