いじめ、不登校、入院。それでも願った「このまま終わりたくない」
私は幼い時から親の仕事の関係で引っ越しが多く、幼稚園の頃はインドで暮らしていました。小学校に上がるタイミングで日本へ帰国しますが、みんなが当然のように知っていることが分からず、周りの話題に付いていけませんでした。
そして、小学生になって転校した学校でいじめを受けます。先生に相談しても「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」などと言われ、心を閉ざしました。
心が閉じたままでも13歳になれば中学校に進学します。心の片隅では何かが良い方向に変わることを期待しましたが、この頃から心身の不調が顕著になりました。
教室で授業を受けていると動悸が起こり、耳が聞こえづらくなる。次第に人混みや集団の中にいることも難しくなり、学校に通えなくなってしまいました。
心身の不調によって日常生活にも支障をきたし、私は入院します。期間は2カ月ほどでしたが、ただ天井を見つめるだけの生活はまるで永遠に続くかのように思え、どんどん心が冷えていきました。
また、不登校になっただけではなく、入院までしてしまったという事実に「社会から切り離された」という感覚が強くなり、大きな喪失感を覚えます。
同級生は当たり前のように学校に行って授業を受け、部活動に励み、友達と放課後を楽しんでいる。でも、私はできない。みんなの当たり前を、当たり前に過ごせない。そう考えると、ただただ悲しくなりました。
退院後も人混みや集団に入れない状態は続き、外出できるのは通院の時くらいです。それでも、「このまま切り離されて終わりたくない。もっと学びたい。社会とつながりたい」という思いは残っていて、家族や先生の助けを借りてフリースクールやネットで学べる場所を探しました。
不登校になっても、入院しても、学びたい。やがてこの思いは「高校でやり直したい。失った青春を取り戻したい」という願いに変わっていきました。

S高に入学して、初めて学校に居場所ができた。社会に再接続できた
中学時代は自分の容姿に自信がなく、少しでも自信を持てるよう、外に出る時はメイクをするようになりました。それは私にとって身を守る鎧のようなもので、メイクが外出できるきっかけになってくれたことでヘアメイクに興味を抱き、専門的に学べるバンタンデザイン研究所への進学を検討します。
しかし、体調的に週5日通学するのは負担が大きく、通いたい気持ちはあっても通い続ける自信はない。メイク好きの子が集まるコミュニティに入りたかったですが、最終的には進学を断念し、母親の後押しを受けてS高等学校(以下、S高)へ進学しました。
当初、通信制高校には「やんちゃな人が集まる学校」というイメージがあり、必ずしも前向きな入学ではありませんでした。ところが、不登校や心身の不調、先生や学校との相性問題などさまざまなバックグラウンドを持つ生徒が集まっているのだと知り、いろいろな事情を抱えた生徒がいるからこそお互いを尊重する空気感があるのだと気付きました。
背景や事情が異なる生徒が集まっているのでメンターもフラットに接してくれ、邪険に扱われることは決してありません。メンターのお陰で小学校や中学校では感じられなかった居心地の良さを覚え、S高が自分の居場所だと思えるようになりました。
お互いに尊重できる友達がいて、信頼できるメンターがいる。不登校と入院によって一度は社会とのつながりが断絶したと感じていましたが、S高というコミュニティに所属することで社会と再接続できたのです。
ずっと閉じていた心が開けば、新しいことに挑戦する勇気も湧いてきます。文章や絵を描くことが好きだったのでメンターの勧めからコンクールに出場し、東京都から優秀賞をいただきました。

学び続ければポジティブな変化が訪れる。社会とつながり、可能性は広がっていく
S高で青春を取り戻し、社会と再接続できたことで、「卒業も学び続け、社会とつながり続けたい」という目標ができました。
とはいえ、心身の不調が完全に治ったわけではありません。そこで通信制の大学を探し、京都芸術大学通信教育部・文化コンテンツ創造学科へ進学しました。今は大学でグラフィックデザインを中心に学んでいます。
将来の目標はまだはっきりとは決まっていません。だけど、学びを止めなかったからこそ、もう一度社会とつながることができました。取り戻した社会との接点を、今後も学び続けることでより強くしていきたいと考えています。
そして、いじめや不登校、心身の不調など、私と同じようなことを経験して苦しんでいる人に対して、何かしらの形で力になりたいと思っています。この記事も、私の悩みや立ち直った過程を知ってもらい、誰かの何かのきっかけになればこんなに嬉しいことはありません。
みんなの当たり前が当たり前にできなくても、学び続ければどこかのタイミングでポジティブな変化が訪れます。その変化の先に、あなたの可能性が広がっているはずです。

取材日:2025年10月
本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。
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