自立への願望から技能連携校へ進学。自分に合わない環境に苦しんでしまう
私は小学生の頃にASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。ASDは感じ方・考え方・情報処理の仕方に偏りがあるとされ、人とのコミュニケーションでは空気を読むのが苦手で、冗談を文字通り受け取ってしまうといった特徴があります。こだわりが強いため変化に不安を覚えやすく、興味の幅も狭い。私も、医師から「興味に偏りがある」と言われました。
ただ、ASDという特性を抱えていても「高校を卒業したら自立して生きていきたい」という願望がありました。そのため、高校3年間で自立への筋道を立てようと思い、中学卒業後は技能連携校へ進学します。
私が入学した技能連携校は通信制高校と提携し、軽度の知的障害や発達障害がある生徒を広く受け入れる学校でした。午前中は先生に教わりながら通信制高校のレポートを解き、高卒資格を得るための勉強をする。午後からは自立支援や就労移行支援を受け、自立と就職に向けたトレーニングをする。就労移行支援では主にピッキングや清掃の技能講習を受けました。
勉強と技能講習は問題なくこなすことができ、自立に向けた自信が生まれつつありました。しかし、思っていた以上にマナー指導が厳しく、次第に気持ちが萎えていきます。「変化に弱い」という特性があるASDの場合、「行動をパターン化する」ことで生きやすくなる人がいます。先生たちも障害への理解があるため、高校卒業後の人生を考えて厳しく教えてくれる。頭では分かっていても、声の大きさやお辞儀の角度を何度も何度も指導されるとうんざりします。
また、勉強と技能講習がある程度できてしまうばかりに他の生徒の指導係を任されてしまい、マジメに取り組まない生徒に対してストレスを感じるように。ネジ締めやタイピングといった単純作業の反復もストレスを増幅させ、高校2年の夏に「うつ病」と診断されました。
うつ病と休息期間を経て、もう一度前を向く。自分らしさを取り戻す
うつ病と言われた時は、「やっぱりな」と納得すると同時に、「これで休める」とホッとしました。
診断を受け、半年ほど休学。ただ、やっと休めると安堵したにも関わらず、「このまま辞めて良いのか」という新たな悩みが生まれました。
技能連携校の入試には面接があり、個人的には「努力して合格を勝ち取った」と思っていました。あの努力が水の泡になっても良いのか、次はどうするのか、といった悩みが巡り、心身はだんだん無気力に覆われていきます。先のことを考えたくなくて好きだったゲームやアニメも遠ざけ、毎日寝て過ごすだけの生活になっていました。
季節が冬になり、休学期間が終わり差し掛かる頃、ようやく気持ちが落ち着いて前向きに考えられるようになりました。
最初に思ったのは、「高卒資格は取っておこう」ということです。就職をする上で高卒資格は持っておいて損はない。高卒資格を目指すなら転入して別の通信制高校へ通うのもアリかもしれない。別の通信制高校を卒業し、就職して自立しよう。うん、それが良い。そんな風にポジティブに、ある意味開き直って、転入を決断しました。
転入先に選んだのは『教育アカデミー高等部』です。
教育アカデミー高等部はサポート校で、鹿島学園高等学校などの通信制高校と提携しています。「通信制高校+サポート校」という形になるので、以前の「通信制高校+技能連携校」と形は同じです。しかし、教育アカデミー高等部の個別相談会に参加した際、先生たちがとても優しく、マナーに厳しかった技能連携校との違いに驚きました。
「期限だけ守ればあとは自由」という方針も自分に合っていますし、技能連携校では余裕がなかったんだと改めて気付きました。余裕ができたことで「自分らしく居ても良い」と思えるようになり、ギターの練習も開始。今は自分を表現できるようになったと感じています。
視野を広げ、いろいろなことに挑戦し、自分の特性を強みに変えたい
当初、通信制高校やサポート校には偏見を持っていました。ASDで技能連携校に通っていた奴が何を言っているんだと思われるかもしれませんが、「社会不適合者や不良が集まっている」というイメージがあったのです。
ところが、キャンパスには落ち着いた生徒が多く、中学時代まで過ごした全日制の学校とさほど変わりません。偏見は偏見でしかない。そのことに安心し、体育祭をきっかけに友達もできました。
私はASDという特性を持っていて、自立のために入学した技能連携校の環境が合わず、うつ病になりました。休学中は無気力に襲われ、どん底の生活でした。
でも、どん底にまで落ちたらあとは上がるだけです。浮上する過程でサポート校を知り、日々の生活に余裕が生まれ、彩りが加わり、人生が豊かになりました。今は「これからも知らない世界を知っていけば、もっと人生が楽しくなるかもしれない」と思っています。このインターンシップも知らない世界を知るために参加しました。
昔と比べるとASDの特性も和らぎ、コミュニケーション面では問題ありません。ただ、「興味の偏り」は今も私の中に残っています。この特性とは今後もずっと付き合っていかなければなりません。だけど、興味の偏りは言い換えれば「やりたいことをとことん追求できる力」です。この特性に負い目に感じるのではなく、武器として活かす術を身に付けたいと考えています。
技能連携校で苦労した経験も、「やりたいことが明確でなかったら『これが適している』というイメージで型にハメられる可能性がある。型にハメられると自分の特性を活かせないかもしれない」と実感できました。
だからこそ大学に進学し、自分の特性を強みにできる「何か」を見つけたいです。
取材日:2025年12月
本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。
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