勉強大好きの小学生が、偏差値教育に絶望して不登校になる
私の両親は共に留学経験があり、母は外資系IT企業で働いていたこともありました。その影響もあってか「なぜ学ぶのか」を考えながら育ってほしいと、自分の興味や教科を追求できる国立大学の附属小学校に入学しました。勉強が楽しすぎて自ら机に向かい、テストはいつも1番でした。
しかし、中等部へ上がると状況が一変します。中学受験組の外部生が合流し、学年全体の雰囲気が「興味があることを学ぶ」のではなく、「成績重視」に変わりました。中等部での最初のテスト結果は70番。いきなり急落したことに驚き、「なぜ勉強するようになったのか」とクラスメイトに聞くと、こんな答えが返ってきました。
「良い高校に行くためだよ」
親と学校の教育方針は「自分のやりたいことや目標を実現するために勉強する」というもので、勉強を目標達成の手段と捉えていました。私もその考え方は正しいと思い、率先して勉強に取り組んでいました。でも、同級生は勉強が目的になっている。
クラスメイトの言い分も理解はできるけど、納得はしたくない。そんな相反する気持ちを抱えるようになり、それまで楽しかった勉強が急に「面白くないもの」になってしまいました。
中学1年の秋頃からは学校に行くのも憂鬱になり、五月雨登校や保健室登校を繰り返します。中学2年に進級すると、状況は改善するどころかむしろ悪化。腹痛などの体調不良が頻発しました。親は「休んで良いけど、できれば学校には行こう」と話してくれましたが、当時は「行かなくて良い」と言ってほしかった気持ちもあり、反抗するように家に引きこもりました。そして、不登校に。進学校だったので不登校支援の教室などはなく、気付くと3年生になっていました。
握力トレーニングで不登校を克服し、偏差値も2カ月で40→70にUP
不登校になってから家に居る時間が増え、たまたま目に入った握力を鍛えるハンドグリップを握るようになりました。中学3年になった時にふと「今の握力はどれくらい何だろう」と測ってみたくなり、体力測定を受けるために久しぶりに登校。すると両手の握力が63を計測しました。不登校なのに、握力は学年トップに。部活動を頑張っている同級生よりも強くなっていたことが嬉しく、妙な自信も生まれたことで登校を再開。受験生なので「なぜ勉強するのか」とは考えず、とりあえず高校に行くために必要な学力を身に付けようと思い、12月から受験勉強を始めます。
とはいえ偏差値は40まで落ちていて、授業にはついて行けません。そこで敢えて学校には行かず、家で1日12時間勉強することにしました。母親が在宅ワークに切り替えていたので、仕事の合間に問題の解き方を教わる形で勉強しました。
母親はなぜか教え方が上手く、猛勉強の甲斐もあって2月に受けた模試では450点満点中448点を獲得。一気に偏差値が80に到達し、第二志望の高校に合格できました。
ところが、卒業間近の時期にN高等学校(以下、N高)と出会ってしまいます。
学びながら起業もできると知り、不登校になって以来、初めて「やりたいこと」が芽生えました。
「やっぱりN高に行きたい」と伝えると、受験勉強をサポートしてくれた母親はブチ切れました。それは当たり前の反応で、自分が母親の立場でもブチ切れたと思います。N高に行くなら偏差値を上げる必要はないからです。
しかし、N高で起業部に入り、自分のやりたいことを突き詰めて起業できれば、一度見失ってしまった「勉強する意味」を改めて見つけられるかもしれない。N高での学びを未来につなげられたら、不登校も含めて自分の人生を肯定できるかもしれない。そう説得し、なんとか納得してもらいました。
N高で生徒会役員になり、子ども食堂を運営。将来は街づくりに取り組みたい
不登校の経験から週3日の通学コースを選び、起業部に入部しました。起業と経営の基礎を学び、N高生と交流する中で、抱えていた不安や悩みを自然と話せるようになり、気持ちが楽になりました。同時に、「自分と同じように辛いことを乗り越えた人たちと何かやってみたい」という情熱がふつふつと湧いてきました。
そして、N高の仲間と一緒に地域の課題解決に向けて子ども食堂を運営・支援する団体を立ち上げます。
私たちが暮らしている地域には高校が二つあり、両方の高校生が一つの図書館を利用しています。しかし、利用を希望する高校生の人数に対して図書館の席数が少なく、抽選制になっていました。この問題を解決するには、高校生が困っていることを行政に伝える必要がある、そう考え、高校生と大人が一緒に食事をしながら問題点や解決策を話し合う場所として子ども食堂を開店したのです。
市役所の協力も得て、これまでに5回開催。回を重ねるごとに人の輪が広がり、今では大人と高校生だけでなく、他校の高校生同士も交流できる場所になっています。
地域活性化と言うと大袈裟ですが、子ども食堂を通して地域全体が少しずつ動き出す「火種」を起こせました。起業部の学びを活かし、仲間と共に火種を起こせたという実感は何よりも嬉しく、これがきっかけとなり街づくりに興味を抱くようになりました。
特に関心があるのは大阪です。大阪は街のつくり方に人の温もりを感じます。関西は学生起業家も多いので、そこで何か大きな挑戦がしたいと考えています。
そして最終的には、海外大学へ進学し、世界規模の視点と実践的な学びを通して、自分の活動をさらに発展させたいです。
N高にはチャレンジできる機会と時間があり、同じ関心を持つ仲間がいます。この環境で学べることは、私にとってとても大きなものです。
だからこそ、N高での3年間を通して「学ぶことの意義」を証明していきたいです。
取材日:2025年12月
本記事内で話されていることは、個人の体験や感じ方によるものです。現在の学校のカリキュラムや学習の進め方とは異なる場合があります。
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