Z世代におけるコミュニティや人間関係の変化を明らかにするため、プレマシードは2025年8月8日~8月18日にかけて「Z世代のコミュニティ実態調査」を実施しました。(※1)
本調査はZ世代(1997〜2012年生まれ/28~12歳)の中でもコロナ禍以降の生活・学習環境・価値観などが当たり前になっている2002~2010年生まれ/22~15歳に対象を絞り、高校生のコミュニケーションの手段と頻度の変化について調査しました。(※2)
調査結果を踏まえ、これから高校生になるα世代が求める居場所としての学校の在り方について考察しています。
- Q1あなたの友達がいるコミュニティとして、あてはまるものをお答えください。(複数回答/n=600)
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友達がいるコミュニティとして最も回答率が高いのは「学校」で89.3%でした。次いで「近所(学校等が同じではないが友達である」が25.5%、「家族・親戚を含む親しい関係者のグループ」が18.7%、「オンラインでの共通の趣味を持つコミュニティ」が11.2%と続きました。
- Q2SNSなどを通じて出会う「リアルでは会ったことのない人」との関係について、あなたの考えに近いものを選んでください。(単数回答/n=600)
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「そう思う」と「ややそう思う」を足した「そう思う(計)」の割合では、「趣味や推しの話が合えば、十分親しくなれると思う」が最も高く82.2%でした。次いで「会ったことのない人と関わるのは不安を感じる」が81.7%、「SNS上でやりとりするだけならよいが、親しくなるのは難しいと思う」が68.5%、「リアルかそうでないかの違いは意識していない」が43.5%と続きました。
- Q3あなたの友達は、狭く深い関係・広く浅い関係、どちらが多いですか。(単数回答/n=600)
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友達との関係性は「狭く深い関係が多い」が70.6%、「広く浅い関係が多い」が29.4%でした。
- Q4あなたは、学校の中で「表面的な会話はするが、深い話はしない関係の友達」はいますか。(単数回答/n=600)
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この設問で「いる」と回答した割合は87.0%、「いない」と回答した割合は13.0%でした。
Q3では約70%が「狭く深い関係が多い」と回答した一方、Q4では90%近くが「表面的な会話はするが、深い話はしない友達がいる」と回答しました。この二つの回答からは、深いつながりと浅いつながりが同時に存在していることがわかります。コミュニティと同じように、人との関係性でも選択することが当たり前になっているようです。
- Q5あなたは下記のSNSアカウントをいくつ所持していますか。(単数回答/n=600)
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SNSのアカウントに関して、「Instagram」は70%以上が、「X(旧Twitter)」も過半数が2つ以上と回答しました。
- Q6 SNSで複数のアカウントを所持している方にお聞きします。アカウントを複数所持している理由、どのようにアカウントを使い分けているかを具体的に教えてください。(自由回答/n=398)
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複数所持の理由や使い分け方の具体例
- 友達や家族向けのプライベート用アカウントと、推しなどをフォローしている推し活アカウントで分けている(16歳/男性)
- 見る用と交流用(20歳/女性)
- メインアカウントは仲が良い人とやり取りするため、サブアカウントはそこまで関わりが深くない人も含めたもの(21歳/女性)
- 中学校までの友達用、高校からの友達用、推し活用として3つのアカウントを持っている(16歳/女性)
- Q7あなたが人と関わるときに「ちょうどよい」と感じる距離感について、あてはまるものをお答えください。(複数回答/n=600)
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回答率が最も高いのは、「気軽に連絡がとれる関係がよい」で46.3%でした。次いで「つかず離れずの、程よい距離感が心地よい」が38.5%、「相手によって関係性を柔軟に変えたい」が29.3%、「隠しごとのないオープンな関係がよい」が23.7%と続きました。
人間関係の構築という点では、適度な距離感や相手に合わせた関係性が重視され、隠し事のない密な関係を「ちょうどよい」と感じる回答率は低かったです。
ただ、学校生活では密でオープンな関係性を求められることが多く、そのせいで息苦しさを感じる生徒もいるでしょう。実際、高校生に話を聞くとクラスや学校での息苦しさ、居心地の悪さから不登校になっている生徒も多いです。Z世代の多くは適度な距離感を求めているため、人間関係や人との距離感を理由に通信制高校やフリースクールを選ぶ生徒が増えています。
- Q8あなたはオンライン・リアルのコミュニケーションに疲れた、めんどくさいと感じることはありますか。(単数回答/n=600)
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コミュニケーションへのネガティブな反応に対して、「よくある」という回答は27.5%、「時々ある」は53.3%でした。「ある」の合計は80.8%です。
- Q9コミュニケーションに疲れた、めんどくさいと感じることがあると回答した方にお聞きします。それはどんなときか、具体的に教えてください。(自由回答/n=485)
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コミュニケーションに疲れた時の具体例
- 急いでいる時や、複数人から同時に連絡が来たときはめんどくさいと思う(15歳/女性)
- 相手の返信速度が早いと、急かされているように感じてしまう。あまり仲が良くない人から頻繁に連絡が来るときは本当に困る(17歳/女性)
- 話したいことがないのに、気まずくならないためだけに会話をするとき(20歳/女性)
- Q10あなたが孤独や悩みを感じるのはどのようなときですか。(複数回答/n=600)
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詳細
- ■全体+10pt以上
- ■全体+5pt以上
- ■全体-10pt以下
- ■全体-5pt以下
n= 自己肯定感が
低下しているとき周りに話せる友人が
いないと感じたとき学校にいても
話す相手がいないとき誰かといても自分だけ話に
入れていないと感じるとき休日に
何も予定がないとき家でひとりで
過ごしているとき誰かに認めて欲しいのに
認められないとき自分の悩みを
誰にも言えないときSNSの投稿を見てみんなが
楽しそうにしているとき一緒にご飯を食べる
相手がいないときSNSで誰とも
やりとりしていないときSNSでつながっていても
孤独だと感じるときその他 特に孤独を
感じることはない全体 600 34.0 32.5 32.3 32.3 27.5 27.0 20.3 19.7 19.5 15.8 10.0 7.0 0.8 20.0 性年代別 男性15~18歳 109 27.5 30.3 24.8 20.2 33.0 28.4 12.8 15.6 11.9 11.9 6.4 5.5 1.8 32.1 男性19~22歳 90 24.4 22.2 23.3 16.7 36.7 25.6 11.1 11.1 16.7 17.8 8.9 7.8 – 23.3 女性15~18歳 225 40.4 37.8 42.2 43.6 19.6 23.1 26.7 23.1 22.7 18.2 11.1 6.2 0.4 15.1 女性19~22歳 176 34.7 32.4 29.0 33.5 29.5 31.8 21.6 22.2 21.6 14.2 11.4 8.5 1.1 17.0 最も高いのは「自己肯定感が低下しているとき」で34.0%でした。次いで「周りに話せる友人がいないと感じたとき」が32.5%、「学校にいても話す相手がいないとき」「誰かといても自分だけ話に入れていないと感じるとき」がそれぞれ32.3%と続きました。
上記の「自己肯定感が低下しているとき」以外の3つでは女性の回答率が高く、コミュニティ内の人間関係で孤独や悩みを感じることが多いです。一方、男性は「休日何も予定がないとき」のように一人でいるときやヒマなときに孤独や悩みを感じる傾向にあります。誰かとつながる欲求を手軽に満たし、不安を取り除けるSNSはとても便利です。しかし、Q8とQ9の回答では常につながっていることによる弊害としてコミュニケーション疲れがあることもわかりました。Z世代の本音は「自分のペースでつながりたい」というものでしょう。
また、Q10の回答からは①自己肯定感が低下しているとき、②人がいてもうまくコミュニケーションできないときに孤独や悩みを感じやすいようです。①は自分が周囲から理解されていない場合に生じやすく、②は共通の趣味や好きがない場合でも周囲と打ち解けるコミュニケーション能力を問われていることがわかります。
所属するコミュニティを自ら選択し、自分のペースで人とつながりを持ちたい、自分らしく生活を送りたいと考える人はどの世代でも増えてきているので悪いことではありません。ただ、Z世代はその傾向が顕著です。今回の調査結果を踏まえると、これまでの全日制高校の学びに対して息苦しさを感じる生徒が増えていることや、その結果として通信制高校に入学する生徒が増えていることが、当然のように感じられます。 Z世代にとっては、自ら選択し、学び、将来を切り拓くことができる通信制高校に支持が集まっていることが自然の流れであり、これから高校生になるα世代からはさらに多くの支持が集まるかもしれません。
掲載日:2025年09月
※1)Z世代の定義は、Pew Research Centerの定義(Gen Z=1997〜2012年生まれ)に則っています。また、記事内における「Z世代」という表記は本調査の対象である「2002~2010年生まれ/22~15歳」を指しています。
※2)調査結果は小数点第二位を切り捨てた数値で表示しています。
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Q1の回答では学校や近所など昔からあるコミュニティに加え、4番目にオンラインコミュニティが入りました。11.2%という数値はサークル、学習塾、習い事などよりも高く注目に値します。コミュニティは趣味や学び、ボランティアといった自分の興味・関心を深掘りする、そのきっかけとなるつながりです。そうした役割をオンラインが担うようになっており、SNSの普及によって自分の好きなコミュニティに手軽にアクセスできる、多くの選択肢の中から自分に合うコミュニティを選ぶことが一般的になったのでしょう。
Q2はそんなオンライン上で出会った人とのリアルな交流に関する設問です。「親しくなれる」と「不安を感じる」がともに80%を超えました。オンラインで自分の好きなコミュニティに属し、人間関係の広がり方や深まり方が大きく変化する中で、Z世代の多くは不安を感じながら「それでも趣味や推しが合えばオンラインとリアルの垣根を越えてつながれる」と考えるようになったのかもしれません。